「仕事に行く」と言った朝。彼が向かったのは、オフィスではなく恋だった——。
🌸「休日出勤、ちょっと行ってくる」
土曜の朝、彼は軽い声でそう言った。
前夜に買った缶コーヒーをバッグに詰めて、玄関で靴ひもを結ぶ後ろ姿。
「いってらっしゃい。気をつけてね」
口が勝手にそう言う。心は少しだけ遅れて、不安の影を追いかけた。
週末の“休日出勤”が増えたのは、ここ一ヶ月のこと。
繁忙期、プロジェクトの山場、部署の体制変更——彼はいくつも理由を並べた。
私はうなずいた。信じたい気持ちの方が、いつも強かったから。
🌸香りと音、そして違和感
その朝の彼は、いつもより香水が強かった。
外で会議なら、香りは控えるはずなのに。
玄関のドアが閉まる音が、いつもより軽く響いた。
洗面台に置かれた彼のヘアワックスは、新しい種類。
「職場で評判いいんだ」なんて笑っていたけれど、誰に、どの場面で?
小さな疑問は、石ころみたいに靴の中で転がり、歩くたびに痛む。
🌸勤怠アプリの「既読」と私の胸騒ぎ
彼のスマホがテーブルに伏せられて、通知が一瞬だけ光った夜がある。
《休暇申請 承認》
私は見ていないふりをした。
休日出勤が続くのに、有給申請が承認される?
「今度の土曜は午前だけ。午後は空くよ」
彼はそう言った。
でも、勤怠が「承認」なら、空くのは午後じゃなくて——一日全部じゃない?
🌸友達に言えない話、画面の向こうへ
誰にも言えないとき、人は検索窓に本音を打ち込む。
『休日出勤 不倫』『有給 不倫 逢瀬』『探偵 無料相談』
指が勝手に動いて、リンクを辿って、心は置いていかれた。
LINE相談のフォームに、震える言葉で状況を書いた。
返信は驚くほど早くて、優しかった。
「大丈夫。事実だけを一緒に確かめましょう」
画面の文字が、私の背中をそっと押した。
✦✧✦
🌸初めての探偵相談は、予想より温かかった
事務所のドアを開けると、コーヒーの香りと柔らかな声。
ドラマみたいに暗くて怖い場所だと思っていたのに、そこは「話していい場所」だった。
担当の女性は、メモを取りながら、私の話を遮らない。
「休日出勤」と言って出る時間、服装の変化、車の走行距離、帰宅後のシャワーの速さ。
小さな違和感の粒が、並べられて線になる。
「この土曜、動きがある可能性が高いですね」
私がうなずくと、彼女は穏やかに言った。
「午前の出勤と言いながら、実は“全休の有給”だった。その仮説で動きましょう」
電話はフリーダイヤルですが苦手なら、メールで匿名無料相談もありますよ!
🌸張り込みの朝——私の心拍は秒針と同じ速さ
当日。
彼はいつも通りのスーツ。だけどネクタイは柔らかい色、靴は新しく磨かれている。
私は窓のカーテンの隙間から、行ってしまう背中を見送った。
探偵からの連絡は、落ち着いた絵文字ひとつ。
《合流しました。車で移動を始めています》
会社へのルートから外れた、と続く。
胸の奥の小鳥が、狭い鳥籠の中で暴れ始めた。
🌸ショッピングモールの昼——就業規則にない笑顔
彼の車は郊外のショッピングモールに入った。
助手席のドアが開く。——彼女が乗り込む。
二人はフードコートで並んで座り、同じメニューを分け合った。
写真には、彼の笑顔が写っている。
その笑顔を、最近の私は知らない。
映画館のチケット売り場。
ポスターの前で、彼は彼女の髪を直すように触れた。
シャッター音が、私の鼓動と重なる。
🌸午後二時、ホテルの駐車場で止まる車
モールを出た二人は、車で15分ほど走って、温浴スパ併設のホテルに入った。
「休憩」のネオン。
ドアの前で、二人は短く視線を交わす。
彼の横顔は、仕事の顔じゃない——恋をしている人の、それだった。
報告を受け取った私は、涙が出なかった。
かわりに、静かな海みたいな諦めが広がっていく。
強がりでも、正義でもない、ただの現実。
━━━
🌸証拠という名のセーフティネット
数日後、私のもとに届いた封筒。
同封の報告書には、時間、場所、行動、写真の一覧。
「休日出勤」は勤怠の上では有給で、彼は恋をしていた。
——就業規則にない愛の時間。
担当者が言う。
「この内容なら、話し合いにも法的手続きにも使える強度です。
いまは混乱して当然。焦って結論を出さなくて大丈夫ですよ」
証拠があるというだけで、心に落下防止のネットが張られる。
それは冷たいけれど、確かに私を守ってくれた。
🌸対峙の夜——テーブルの上には沈黙
「土曜、仕事だった?」
私がそう聞くと、彼は一瞬だけ視線を泳がせた。
「……そうだよ」
私は報告書の一枚目を静かに差し出す。
ホテルの入り口、ネオンの光、肩を寄せる二人。
「なんで……探偵なんて」
彼の声は、怒りというより、怯えの色。
私は自分の声が、思いのほか落ち着いていることに驚いた。
「確認したかっただけ。私の時間を、あなたの嘘で埋めたくなかった」
🌸思い出と現在地のあいだで
つないだ手、朝のコーヒー、ふたりだけの合言葉。
思い出の断片が、床に落ちたガラスのようにきらきら光る。
拾い集めれば、また器になる気がした。
けれど、割れ目からは水が漏れる。
私たちはもう、同じ器ではいられない。
🌸決めたこと、決めないこと
その夜、私は「別れる」とも「許す」とも言わなかった。
代わりに、ひとつだけ決めた。
事実から目をそらさない、ということ。
慰謝料や今後の生活の話は、第三者を交えて整えていけばいい。
泣くのは、書類を出し終えたあとでもできるから。
✦✧✦
🌸同じ痛みを抱えるあなたへ
「休日出勤だから」「今だけ忙しいから」
その言葉が、あなたの胸で石になるなら——。
疑うことは悪じゃない。自分を守る行為だと、私はこの一連で知った。
探偵事務所は怖くない。
匿名で相談できるし、無料で話を聞いてくれるところも多い。
証拠は冷たいけど、あなたの未来を温かくする力がある。
🌸就業規則にない愛の時間を、終わらせる
会社にルールがあるように、心にもルールがある。
「嘘の上には、これ以上、私の時間を積み上げない」
そのルールを、私はやっと自分に許可した。
もし今、あなたが同じ場所に立っているなら。
この一歩を、あなたにも渡したい。
電話はフリーダイヤルですが苦手なら、メールで匿名無料相談もありますよ!
♡ 追記 ♡
このサイトには、たくさんの記事がありますよ!
スマホだからちょっとわかりずらいかもですが、この記事読み終わったら、そのままスマホ画面をビューンって下にスクロールしてみてね!
エントリー記事いっぱいあるから、少し違う角度から、同じ悩みを見つめた記事も参考にしてね♡