子宮筋腫の症状

三大子宮筋腫、漿膜下筋腫・粘膜下筋腫・壁内筋腫の症状と治療方法

☆子宮筋腫・・・

 

 

子宮筋腫は腫瘍の一種で、子宮の筋肉の層から発生する良性の腫瘍のことをいいます。筋腫は、こぶ、しこり、かたまりといった状態のもので、最初は小さい芽のようなものが、だんだん発育して、その他の症状を引き起こすようになるのです。

 

子宮筋腫は、成人女性の4人に1人はあるといわれるくらい多く、症状があらわれるのは30代から40代ですが、20代からもっていることもあり、また本人が自覚しないで一生知らずに過ごしてしまうこともあります。

 

できる場所は、子宮の筋肉のさまざまな部分です。形状は、筋肉の中にできるもの、またとび出すものや、ぶら下がるもの(有茎)などがあります。

 

 

子宮筋腫の種類・・・

 

 

子宮筋腫は、子宮壁内に発生し、その後の発育の方向によって、三つの種類に大別されます。

 

子宮の外側に向かって発育するのが漿膜下筋腫、子宮腔に向かって発育するのが粘膜下筋腫、子宮壁内で発育するのが壁内(筋層内)筋腫です。

 

このほか、子宮頸部にできた頸部筋腫や、筋腫がポリープのようにぶら下がって子宮ロから外に出る筋腫分娩といったものもあります。

 

筋腫そのものは、コリコリした、かたいこぶのような球状で、弾力性があります。そのこぶ(結節)と、それを包んでいる外側との境界は比較的はっきりしているので、手術でとり出すことは容易です。

 

筋腫は、一か所に1個のこともあれば数個できることもあり、同時に何か所にもできることがあるので、子宮に与える影響は筋腫の発生部位、大きさ、数などによって違ってきます。ポリープ状になると、子宮そのものの形は大きく変わりませんが、症状は不正出血という形で出てきます。

 

 

☆漿膜下筋腫・・・

 

子宮の形はほとんど変わらず、外側にふくれて、体外から手をふれてわかるまで無症状のこともあります。この筋腫ができたまま妊娠することも多く、無事に出産する人もいます。

 

 

☆粘膜下筋腫・・・

 

子宮内腔で発育していくので、子宮全体が火きくなります。小さなものでも、過多月経や不正出血を起こします。有茎のものが発育して子宮ロの外へ出てしまうときなどは筋腫分娩といい、大出血を起こすことがあります。

 

 

☆壁内筋腫・・・

 

筋腫が発生した部位にもよりますか、大きくなっていくにつれて、子宮の形や大きさが変化していくことがあります。そうなると、筋腫による月経異常(過多月経が多い)や月経痛があらわれてきます。

 

 

※原因・症状などは?

 

原因は、卵巣でつくられる卵胞ホルモン(エストロゲン)の刺激によって子宮の筋の線維が発育し、増殖するために発生するのですが、人によってできたりできなかったりし、その理由はよくわかっていません。

 

妊娠すると、ホルモンの影響で急に増大します。

 

子宮筋腫は良性腫瘍ですが、まれに肉腫(悪性の腫瘍)へ移行することがあります。しかし、この頻度は子宮がんの発生よりはるかに少ないものです。

 

ただ、筋腫のある子宮にがんが合併して発生する場合もありますので、がんの検診を兼ねた定期的な受診が大切です。

 

 

☆どんな合併症があるのか?

 

貧血・・・

 

子宮筋腫があると、過多月経、不正性器出血が多くなるので、貧血になることがよくあります。貧血がひどいと手術はできないので、造血剤を与えて様子を見ますが、月経量が多いと造血剤では追いつかないことがあり、そのような場合には、医師の見きわめによって手術に踏み切ることもあります。

 

流産・不妊・・・

 

子宮筋腫があっても妊娠や出産は可能ですが、多くは不妊や流産になりやすいものです。それはホルモンのためではなく、筋腫のこぶが、受精卵の着床を妨げたり、着床したとしても、その後の妊娠の継続のじゃまをするからです。

 

便秘・排尿障害・・・

 

筋腫が大きくなると、腸や膀胱を圧迫するために、人によっては便秘になったり、尿が出にくくなったりします。

 

月経痛・腰痛・・・

 

月経量の多さやホルモンの関係などで、月経痛や腰痛なども起こることがあります。

 

 

☆治療方法を解説します!

 

治療を必要としない場合・・・

 

子宮筋腫があると診断されてもごく小さくて症状が何もないときは、定期的に診察を受けるだけで治療の必要はありません。この場合は、筋腫があっても妊娠、出産することは可能です。

 

 

治療のいろいろ・・・

 

子宮筋腫と診断されたもののうち、約四分の一は実は子宮内膜症であり、約四分の一は子宮筋腫と子宮内膜症の合併です。

 

つまり、本当の子宮筋腫は約二分の一です。治療は、ホルモン療法や、経過をみてのち手術をする場合があり、貧血や痛みに対しては、それぞれの薬を用います。

 

 

手術をするとき・・・次の場合には手術を行います。

 

①筋腫による症状、過多月経、性器出血、圧迫症状、貧血があるとき。

 

②症状はほとんどなくても、子宮が握りこぶし大異常になったとき。

 

③流産を操り返すとか、筋腫以外にはっきりとした原因がなくて不妊である場合。手術は、たちのいい筋腫の場合は、こぶの部分だけとり、子宮はそのまま残します。

 

しかし筋腫の芽をとり残すとまた筋腫ができ、再手術ということもありえます。

 

子宮筋腫の手術の場合、ホルモンの正常な働きを阻止しないために、できるだけ卵巣を残すのが原則です。

 

ただし、卵巣に異常があった場合はやむなくとることもありますが、そのときもなるベく片方の卵巣は残す努力をします。

 

最悪の場合は子宮と卵巣をとりますが、そのときはホルモン療法でマイナスを補います。

 

手術は、出産の経験がある人は膣式(おなかを切らずに膣を通して行う)が可能ですが、筋腫が握りこぶしより大きい場合や、子宮が卵巣や腸に癒着していると考えられるとき、かんの疑いかあるときなどは開腹手術を行います。

 

最も簡単なポリープ状筋腫のときは、それをとるだけですから1~2日の入院で十分です。開腹手術の場合は、種々の検査期間なども含めて3週間くらいの人院で、手術後の抜糸は1週間目くらいです。

 

 

☆手術後の注意とは?

 

退院後の注意は医師に従えば心配ありません。普通、退院後一か月目くらいに診察がありますが、そのとき「何をやってもよい」と言われたら性生活もよいということです。

 

性生活の最初は、人によって多少の出血をみることがありますが、だんだんなくなります。手術で子宮をとった場合、膣の先はぬい合わせますので膣の長さに変化はなく、また性感も変わりません。

 

しかし女性の側で、子宮などをとったことに対する精神的な劣等感などをいだくと、そのことから性生活をうとましく思ったり、性感をそこねることがあります。本人も夫も、手術によって得られた安心や、その他のプラス面をとらえることが大切です。

 

なお、卵巣が残っていれば、手術後も女性ホルモン分泌に変化はありませんから、従来どおりの生活ができます。

 

 

子宮筋腰の主な症状と治療法のまとめ・・・

 

主な症状・・・

 

過多月経・・・急ではなく徐々に多量になる。また何日たっても止まらない。

 

不正性器出血・・・月経時以外に出血がある。

 

貧血が続く・下腹痛がある・下腹部に不快感がある・妊娠のように腹部がふくれる・腰痛・月経痛・流産・不妊

 

 

治療法・・・

 

症状がなくて、何かのついでに子宮筋腫が発見されたような場合は、そのまましばらく経過をみることがある。
症状と筋腫の状態によって異なるが、次の場合には手術をする。

 

●筋腫による過多月経、性器出血、圧迫症状、貧血があるとき。

 

●症状はほとんどなくても、子宮が握りこぶし大以上になったとき。

 

●流産を繰り返すとか、筋腫以外のはっきりした原因がなくて不妊のとき。

 

手術は、筋腫の部位や大きさにもよるが、普通2~3週間の入院。40才以降の女性で、子供を必要としない場合には、子宮がんの予防もあって、子宮を全部とることもある。

 

 

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