「小さな“嘘”は、不倫という大きな裏切りへの入り口だった──」
◆「嘘つきは泥棒の始まり」とはよく言ったもの
「嘘つきは泥棒の始まり」──昔から聞き慣れたことわざだ。
子どもの頃は、ちょっとした悪戯や小さな隠し事をたしなめられるときに言われた言葉だと思っていた。
けれど今、その意味を骨の髄まで思い知らされている。
なぜなら、妻の小さな嘘がきっかけで、不倫の全貌が明らかになったからだ。
◆妻の小さな違和感
ある日のこと。
「今日は仕事が長引いて帰りが遅くなる」
そう言って出ていった妻。
だが、その夜のレシートを私は偶然手に入れた。
財布から覗いた紙切れには「イタリアンレストラン」の文字。
残業だと言いながら、なぜ食事をしている？
その違和感が、最初の“嘘”の匂いだった。
◆嘘が積み重なる夜
それから妻の言動を注意深く観察するようになった。
「友達とお茶してくるね」と言った日は、帰宅時間が妙に遅い。
「買い物に行ってくる」と出ていったのに、両手は空っぽで帰ってきた。
一つ一つは些細なこと。
問い詰めても「ちょっと時間がかかっただけよ」と笑ってごまかす。
だがその小さな嘘が、まるで積み木のように積み重なっていった。
◆嘘の中に潜む不倫の影
やがて、嘘が一つの線となり、やがて輪郭を浮かび上がらせる。
「残業の日」は必ず週に二度。
「友達とのお茶」は決まって同じ曜日。
そして「買い物」の日は、必ず化粧が濃い。
それはもう偶然ではなく、不倫という一つの真実へと繋がる“習慣”だった。
◆問い詰められない苦しみ
もちろん、心の中では何度も問い詰めた。
「本当に残業なのか？」
「誰と会っていたんだ？」
だが、確かな証拠がない以上、妻を追及することはできなかった。
ただの勘違いかもしれない──そう思おうとする自分と、いや絶対に嘘だと感じる自分。
その狭間で、心は日に日に摩耗していった。
◆嘘の証拠は日常に残る
ある夜、妻が入浴中に置きっぱなしにしたバッグ。
そこにあったのは、私の知らない男性の名刺と、二人で写ったプリント写真だった。
胸が締めつけられ、呼吸が苦しくなる。
これまでの小さな嘘が、すべて一本の線に繋がってしまった瞬間だった。
「嘘つきは泥棒の始まり」──まさにその通りだ。
小さな嘘が積み重なり、最後には夫婦の信頼という最大の財産を盗んでいったのだから。
◆探偵に相談する決意
証拠を突きつけたい。しかし、名刺や写真だけでは決定打にはならない。
「ただの仕事関係」と言われれば、それまでだ。
このままでは、妻の嘘に振り回され続け、真実に辿り着けない。
そこで私は、探偵への相談を決意した。
プロなら、尾行や撮影を通じて動かぬ証拠を手にしてくれる。
妻の小さな嘘を“真実”に変えるのは、探偵の力しかないと悟ったのだ。
◆嘘の先に待っていた真実
探偵から届いた報告書には、妻と見知らぬ男が腕を組んで歩く姿、ホテルへ入っていく写真が並んでいた。
胸が張り裂けるような思いと同時に、やはりという確信が押し寄せる。
小さな嘘の積み重ねが、最終的に不倫の全貌を明かしたのだ。
私はその瞬間、ことわざの重みを痛感した。
「嘘つきは泥棒の始まり」──妻は私の信頼を盗み、家庭を壊したのだから。
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