“妻の残業は恋の時間”──甘い裏切りの残業代はいくらなんだ！

愛を壊すのは、時給に換算できない裏切りの時間。

🌸残業が増えた妻

「最近、残業が多いんだ」

そう言いながら、妻は笑っていた。

でも、その笑顔の奥にはどこか遠くを見つめるような冷たさがあった。

以前なら、残業と聞けば「お疲れさま、体に気をつけてね」と素直に言えたはずなのに、

この頃はその言葉の後に、妙な間が生まれてしまう。

最初は、ただの思い過ごしだと思った。

彼女の仕事は繁忙期に差し掛かっていたし、部署の異動もあった。

忙しいのは当然だと、何度も自分に言い聞かせた。

だけど——その残業が、やけに楽しそうに見える瞬間があった。

🌸小さな違和感

夕食の時間が遅くなり、帰宅後もスマホを手放さない。

お風呂から上がると、既に何かのメッセージを読み終えて笑っていることもあった。

ある晩、洗濯物の中から、私の知らないブランドの香水の匂いがした。

問い詰めると「同僚の誕生日プレゼントよ」と、軽く笑いながら答えたが、

その笑顔の端がわずかに引きつっていた。

🌸眠れぬ夜

疑いが芽生えると、人間は眠れなくなる。

時計の針が午前2時を指しても、天井を見つめたまま動けない。

横で眠る妻の背中が、知らない人のように遠く感じた。

携帯を手に取り、ネットで「妻残業不倫」という言葉を検索する自分がいた。

🌸探偵事務所との出会い

友人や家族には絶対に言えない。

「お前の奥さん、不倫してるかも」なんて、そんな想像を人に預けることはできない。

そんな中で見つけたのが、探偵事務所の無料相談だった。

半信半疑で電話をかけたが、優しい女性スタッフの声に、少しだけ心が緩んだ。

「大丈夫ですよ。一歩ずつ整理していきましょう」

その言葉が、暗闇の中で灯った小さな明かりのようだった。

🌸調査開始

平日の夜、妻が「残業」と言って出社したあと、探偵はすぐに尾行を開始した。

会社のビルを出た彼女は、駅とは逆方向へ歩き、小さなバーの前で立ち止まる。

そこにはスーツ姿の男性。

二人は目を合わせ、自然に腕を組んで店内へ消えていった。

張り込み中の探偵から送られてきた写真。

その中の妻は、私が知っている表情よりも柔らかく、幸せそうに見えた。

🌸揺れる心

その夜は報告書を最後まで読めなかった。

「ただの同僚かもしれない」

「仕事の延長で飲みに行っただけかもしれない」

そう思いたくて、何度もページを閉じた。

しかし、別の日の調査で、二人が手をつないで歩く姿が記録された。

その手のつなぎ方は、仕事仲間の距離感ではなかった。

🌸決定的瞬間

金曜日の夜。

探偵は二人が繁華街の端にあるビジネスホテルに入るところを撮影した。

時刻は夜10時過ぎ。

「残業時間」は、とっくに終わっている。

ホテルの自動ドアが閉まる瞬間、妻が男性の肩に軽く頭を乗せていた。

その映像は、私の中で最後の希望を粉々に砕いた。

🌸裏切りの残業代

報告書を読みながら、ふと笑ってしまった。

「この時間、彼女はいくらもらっているんだろう」

もし時給に換算できるなら、少しは救われたかもしれない。

でも現実は、金額では計れないほど深く、私の心を傷つけていた。

「今日は残業で遅くなる」──その言葉を信じていた自分が、今では愚かに思える。

彼女の笑顔の奥にある“甘い嘘”を、なぜ見抜けなかったのだろう。

帰宅後の疲れたふりも、机に置かれたタイムカードの影も、すべてが偽りの演出だったのかもしれない。

私は、残業という言葉の裏に隠された本当の意味を知りたくてたまらなかった。