月経の異常?性染色体の異常、膣や子宮などの性器の異常、原発性無月経の原因
月経の異常?・・・無月経・・・月経がないときは要注意!
どんな病気なのでしょうか?
女性がある程度の年齢まで成長して、一度も月経がみられない場あるいは、ある時期まで月経があり、その後なくなった場合を無月経といいます。
どんな症状が出るの?
初経の平均年齢は、12~13歳。15歳では98%の女性に月経がみられます。18歳になっても初経がない場合を原発性無月経といいます。また、初経以降、月経が順調だったにもかかわらず、妊娠以外の原因で3か月以上月経がない場合を続発性無月経といいます。
ただし、初経から2~3年は卵巣やホルモンの働きが未熟なため、月経のリズムが乱れることがあります。
原発性無月経・・・原発性無月経の原因
性染色体の異常、膣や子宮などの性器の異常、視床下部,下垂体,卵巣の機能不全などが考えられます。
例えば、膣の途中や入り口が閉鎖していて、月経血が子宮や膣にたまってしまって外に出ず、初経に気づかないことがあります。また、生まれつき膣がないために、月経血が子宮の外に出てこられない場合があります。このような場合は、膣の閉鎖部分を切開したり、膣をつくる手術などを行います。
いずれにしても、無月経の原因を正確につきとめることが大切です。15歳を過ぎても初経がない場合は、早めに婦人科の診察を受けましよう。
続発性無月経・・・
続発性無月経は、ストレスや環境の変化、過度のダイエットなどによって、女性ホルモンのバランスが崩れて起こると考えられます。
入学、就職、結婚、転勤などの環境の変化や、過労、過度のスポーツなど、精神的、肉体的ストレスやショックで女性ホルモンのバランスが崩れ、無月経になることがあります。
また、無理なダイエットや神経性食思不振症によっても無月経は起こります。1か月に5キロ以上体重が減ると、月経をコントロールする視床下部が正常に機能しなくなり、無月経が起こります。
☆無月経は、大きく第1度と第2度に分けられます。
第1度無月経は、黄体ホルモンの分泌不足が原因です。無月経が1年以下の場合はが第1度無月経が、疑われます。
第2度無月経は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌不足で起こり、第1度無月経が進行して起こることもあります。第2度無月経まで進行すると治療が難しく、排卵が起きにくくなります。
卵胞ホルモンは、女性のからだを守る大切なホルモンです。分泌量の減少に伴ってさまざまな病気が起きます。
なかでも骨粗鬆症との関係は深く、長く無月経を放置したため、30~40歳代で骨粗鬆症になる人がいます。3か月以上月経がない状態が続いたら、ためらわずに婦人科を受診しましよう。
女性ホルモンをコントロールする脳下垂体の腫瘍や、高プロラクチン血症による視床下部の機能低下によっても無月経は起こります。また、甲状腺機能亢進症・低下症・副腎機能亢進症・糖尿病・腎臓病などの病気が原因となることがあります。
どんな治療?
無月経の背景にほかの疾患がある場合は、まずその治療が必要です。ほかに疾患がないか確認してから、無月経の治療に入ります。
ストレスやダイエットが誘因となっている場合は、それらの誘因をとり除き、ホルモン剤を使って治療します。軽度ならすぐに順調な月経を回復することができます。
無月経を長く放置すると、治療が難しくなります。視床下部から下垂体、卵巣、子宮への反応が鈍くなっているため、ホルモン剤を使ってもなかなか月経を引き起こせません。
無月経には重大な病気が隠れていることがあるので、早めの受診と治療が必要です。さらに、栄養バランスのよい食事や規則正しい生活も大切です。
稀発月経・頻発月経(月経周期が長い場合、短い場合)
どんな病気なのでしょうか?
月経周期の異常には、前回は27日で今回は33日というように、毎回ばらつきのあるケースのほか、つねに一定だった周期が急に不順になるケースがあります!周期は環境の変化や体調、ストレスなどの影響で変動しやすいため、1週間程度のズレであれば特に心配はありません。
月経周期は、25~35日であれば正常といえます。36日以上と周期が長かったり、年間に10回以下の場合を、稀発月経といいます。
逆に周期が短く、24日以内で、1か月に2回~3回と月経がある場合を頻発月経といいます。
どんな症状が出るのでしょうか?
稀発月経には、40~45日と周期が長くても定期的に月経がある場合と、周期が不定で1年に3~4回しか月経がない場合があります。仮に月経の周期が長くても定期的にあり、排卵がある場合や、ときどきでも排卵がある場合は、あまり問題はありません。
しかし、月経が定期的にない場合や、排卵がない場合は、卵巣、脳下垂体、甲状腺の機能不全が疑われます。早めの治療が必要です。
頻発月経には二つつの原因が考えられます。一つは、排卵はあるが月経の開始から排卵まで(卵胞期)が極端に短いか、排卵から月経の開始まで(黄体期)が極端に短い場合です。
もう一つは無排卵性月経です。特徴は、比較的経血量が少なく、10日、2週間と長期に続くことです。頻発月経は更年期に近い女性に多くみられます。
この場合、月経の出血量が多く、貧血の原因となることがあるので注意が必要です。また、頻発月経ではなく、不正出血の場合もあります。
無排卵性月経・・・
月経はあっても、排卵がない場合を無排卵性月経といいます。排卵がないために、基礎体温は高温期がなく、低温のままです。
稀発月経や頻発月経など、周期に異常がある人に多くみられます。また、まだ周期の定まらない初経から2~3年の人や、ホルモンのバランスが乱れがちな更年期にも少なくありません。
無排卵の状態が続くと、不妊症を招いたり、更年期以降の子宮がんの危険性が高いという統計があります。特に妊娠を希望する場合は、早めの治療が必要です。排卵誘発剤やホルモン剤などで、定期的な排卵を起こすなどの治療を行います。
どんな治療・予防を行うのでしょうか?
稀発月経や頻発月経は、ほうっておくと続発性無月経から、不妊症を招くおそれがあります。早めに婦人科で診察を受け、ホルモン剤などによる治療を受ける必要があります。
周期や排卵の異常は、基礎体温からある程度わかります。できれば2か月間、基礎体温を記録し、周期が乱れていないかどうか、低温期と高温期の二相性1が正常にあるかどうか、チェックすることが大切です。
月経に異常がなくても、体の変化をチェックするために基礎体温を記録しましよう。日常の健康チェツクにたいへん役立ちます。
過多月経・過少月経・・・経血量が多い場合、少ない場合
どんな病気なのでしょうか?
経血量の異常で、多すぎる場合を過多月経、少なすぎる場合を過少月経と言います。稀発月経や頻発月経と組み合わさっている場合もあります。
どんな症状・治療?
☆過多月経
月経の出血量にはかなり個人差がありますが、医学的な正常範囲は、50kら120mlです。出血量の多い日でも、約2時間とにナプキンを交換していれば大丈夫というのであれば、問題ありません。
それ以上頻繁に交換が必要な場合は、過多月経といえます。また月経は通常3~7日間(5日間が最も多い)ですが、8日以上出血が続く場合も過多月経と考えてよいでしよう。
さらに、レバーのような大きな血のかたまり(凝血塊)が混じる場合も過多月経です。
子宮内膜は血液を固まりにくくする成分を分泌していますが、月経の出血(経血)量が多すぎるとそれが追いつかなくなり、経血がかたまりになります。経血量が多すぎると、貧血の症状が出るので注意が必要です。
過多月経の原因としては、無排卵性周期症や黄体機能不全症など卵巣に問題がある場合と、子宮筋腫、子宮内膜症など、子宮そのものに病気がある場合が考えられます。
前者は思春期に多く、ホルモン療法で周期と月経の出血量を正常に戻します。一方、後者は以前に比べて出血量が増えたような場合です。この場合は、背景にある病気の治療が必要です。
ホルモン剤による治療や、症状によっては、子宮の摘出手術が必要な場合もあります。
☆過少月経
月経の出血量がナプキンを使わなくてもすむほど少なかったり、茶色のおりもの程度の月経血しか出ない、2日以内で終わってしまうなどの場合を、過少月経といいます。
子宮の発育不全や子宮内膜の萎縮、ホルモンの分泌異常、無排卵などが原因と考えられます。このほか、人工妊娠中絶手術がきっかけとなり、子宮内膜が萎縮し、過少月経となることもあります。基礎体温を記録して、婦人科を受診しましょう。
経口避妊薬を服用している場合は、子宮内膜の増殖が減少するため、過少月経になることがあります。また、閉経が近づくと過少月経になりやすいのですが、いずれも心配ありません。
☆早発・晩発月経、早発・晩発閉経
初経の平均年齢は、12~13歳ですが、10歳未満で初経がある場合を早発月経といいます。あまり早く初経があると、体の成長が早く止まってしまう場合があります。
15歲では98%の女性に月経がみられます。15歳を過ぎてから初経が、来た場合を晚発月経といいますが、18歲までに初経が、あればそれほど問題はありません。
15歳になっても初経がない場合は、原発性無月経が疑われますので、医師に相談しましよう。閉経前の数年間は月経周期が不規則になりますが、最後の月経から1年間
月経がない場合、閉経とされます。
閉経の平均年齢は50歳前後です。43歳未満の閉経を早発閉経といいます。早発閉経では、まだ女性ホルモンが働いていなければならない時期に閉経によってホルモンの分泌が減少するため、さまざまな障害が起こることがあります。
この場合は、ホルモン補充療法が必要になります。55歳以上になってからの閉経を晚発閉経といいます。通常は問題ありませんが、ほかの病気が隠れている場合がありますので、医師に相談することをおすすめします。