「犬だけが知る、妻の裏切りの散歩道。その真実を暴くのは探偵かもしれない。」
「散歩行ってくるね」その一言に隠された秘密
「散歩に行ってくるね」――夫にそう告げるたび、胸の奥に小さな罪悪感が芽生える。
犬のリードを握りしめて玄関を出る私の足取りは、夫の目にはいつも通りに映っているはず。
けれど、本当はただの散歩じゃない。私が歩くその道は、愛犬と一緒に歩く「裏切りの散歩道」だった。
愛犬が見ていた二人の距離
近所の公園、ベンチの脇。そこに待っている彼の笑顔に、私は自然と歩み寄ってしまう。
犬が尻尾を振って近づいていくのを口実に、私も彼の隣に腰掛ける。
犬だけが知っている。リードの長さよりもずっと近い二人の距離。
夫には絶対に見せられない表情を、犬の澄んだ瞳だけが映し出していた。
夫に隠した甘い時間
「お散歩どうだった？」――帰宅後に夫が何気なくかけるその言葉。
本当は“犬との時間”じゃなく、“彼との時間”だったなんて言えるはずもない。
私は笑って「楽しかったよ」と答える。けれど、その笑顔はきっと少しぎこちない。
罪悪感と背徳感、それでもやめられない甘いひとときに、私は溺れていった。
犬の瞳に映る裏切り
散歩の途中、彼に見せる笑顔。触れ合う手。交わされる視線。
無邪気に見上げてくる犬の瞳に、私は時々、自分の醜さを見せつけられている気がした。
「ママは間違ってるよ」――そう言われているようで、胸が締め付けられる。
それでも私は、彼のもとへ歩き続けてしまう。犬が唯一の目撃者となったまま……。
帰宅後に訪れる違和感
家に戻ると、夫はいつも通りテレビを見ながら「おかえり」と微笑む。
その瞬間、足元の犬が夫を見つめる眼差しにドキッとする。
彼に抱き上げられる犬の仕草が、どこか私の心を責めているように思えるのだ。
匂いに敏感な犬は、私と彼の秘密をきっとすべて知っている。
ただ口にできないだけで……。
罪悪感と背徳感の狭間で
愛される妻でありながら、母でありながら、一人の女でもある私。
散歩という短い時間に、私は“別の私”を生きている。
犬が見上げるその瞳に映る自分は、夫の知らない顔をしている。
「このままでいいの？」――問いかけているのは犬なのか、自分自身なのか……。
秘密を抱えきれなくなった時
裏切りを続ける罪悪感に押し潰されそうになったとき、心に浮かぶのは夫の存在。
彼がもし疑い始めたら、もし真実を知ってしまったら……。
そんな恐怖に震えながらも、私はまた犬を連れて散歩に出る。
けれど、隠し通せる秘密なんてない。犬がすでに知っているように、真実はいずれ明るみに出るのだから。
探偵に委ねる決断
もし夫が本気で疑いを持ち始めたら……きっと自分だけではどうにもできない。
犬の散歩道で生まれた裏切りの時間を、真実として突きつけられる日は来る。
そんなとき、夫が選ぶのは探偵かもしれない。
秘密を暴くプロの目に、どんな隠しごとも通用しないのだから。
私が抱えているこの罪を、いつか夫が知る日が来るのだろう……。
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