子宮頸管炎・子宮内膜炎の症状と治療!そして効果の期待できる漢方薬とは?
☆子宮の炎症・・・内性器の下から上へ感染する!
どんな病気でしょうか?
内性器の炎症は、それぞれの場所で独立して起こるよりも、たがいに関連して起こることが多いものです。
特に多いのは、外陰や膣から子宮頸管、子宮内膜へと、下から上へ感染する上行感染です。放置していると卵管から骨盤腹膜にまで炎症が広がってしまいます。
子宮頸管炎の段階では治療も簡単ですが、だんだん上へ炎症が広がるにつれ、治療も難しくなります。炎症が起きた場所によっては、高熱や激痛で入院が必要になる場合もあります。炎症がひどくなると、不妊症の原因となります。
どんな症状が出るの?
子宮頸管炎・・・
何らかの原因により子宮頸管が細菌感染し、炎症を起こしたものです。原因で多いのは膣炎からの感染で、膣炎の菌が子宮頸管まで上がってきて炎症を起こします。
特に、子宮膣部びらんがあると感染しやすくなります。原因菌は、ブドウ球菌や大腸菌などの細菌のほか、クラミジア、淋菌、結核菌などです。
また、避妊リングの挿入時や人口妊娠中絶、分娩などで子宮頸管が傷ついて、炎症を起こす場合もあります。
症状は、下腹部や腰が痛み、黄色い膿のよぅな悪臭のあるおりものが多く出ます。子宮頸管が赤く腫れてただれるため、出血しやすくなり、セックスの後などに出血することもあります。
子宮頸管炎自体の症状は比較的軽いのですが、進行すると、炎症が子宮全体や卵管、骨盤腹膜にまでおよんで、発熱や激しい下腹部通を起こすことになります。
子宮内膜炎・・・
何らかの原因により子宮内膜が細菌感染し、炎症を起こしたものを、子宮内膜炎といいます。
原因は、子宮頸管炎と同様、膣炎からの感染、流産や人工妊娠中絶、分娩、避妊リング挿入などの際の細菌感染などです。
また、子宮頸管炎が上行感染により波及する場合もあります。子宮内膜炎になると、子宮内膜が傷つき、下腹部の不快感や鈍痛、腰痛、不正出血が起こることもあります。
また、月経の周期が乱れたりします。おりものが増加し、血の混じったおりものが出ることもあります。重症の場合には激しい下腹部通を起こし、発熱します。
☆どんな治療を行うのか?
子宮頸管炎・・・
治療には原因菌に合わせた抗生物質や抗菌剤を使います。また、消炎剤を使ったり、膣内の洗浄、消毒をしたりします。
慢性化しないように、長くかかっても治療は徹底的にしなければなりません。症状が治まっても、完治するまでは医師の指示に従って薬の服用などを続けることです。
長びくと頸管粘液の分泌に異常をもたらし、精子の進入を妨げて、妊娠しにくくなることがあります。
子宮内膜炎・・・
子宮内膜炎がひどくなると、卵管や骨盤腹膜にまで炎症が広がることがあります。そうならないうちに完全に治すことが大切です。
症状が治まっても、医師の許可が出るまで治療を続けます。安静にし原因菌に合わせた抗生物質により治療します。高熱や激痛の症状がある場合は、入院が必要です。
※病原菌が膣から侵入すると、膣炎→子宮頸管炎→子宮内膜炎→卵管炎→骨盤腹膜炎というようにさかのぼり、炎症が広がっていきます!
☆子宮の病気に効く漢方とは・・・子宮筋腫・子宮内膜症
漢方では、子宮筋腫、子宮内膜症をともに、末梢血管の血流のとどこおりであるお血が子宮に起こった病気と考え、血の病を治す駆お血剤が用いられます。
駆お血剤というのは、お血を駆逐する薬という意味です。西洋医学では、手術やホルモン療法が主体ですが、漢方薬をうまく使えば、子宮筋腫によるさまざまな自覚症状を軽くすることができます。
例えば子宮筋腫によって月経痛や月経異常がひどくなったり下腹部の圧迫感、便秘、性交時痛、頻尿などの症伏が起きることがあります。また、子宮内膜症によっても、月経痛や月経量の増加、下腹部痛、腰痛、性交時痛などがみられます。
こういう場合に漢方薬を上手に使えば、自覚症状の改善にかなりの効果を上げることがてきるのです。また、西洋薬と漢方薬を併用して相乗効果が発揮されることもしばしばです。
子宮内膜症が不妊の原因になっている場合、漢方薬の治療で子宮内膜症が改善すれば、妊娠を期待することもできます。
漢方薬といえども、大きな子宮筋腫を小さくすることはできません。筋腫がある程度大きくなって、必要とみなされた場合は手術を受けてください。その場合も、手術の前後に漢方薬を服用すれば、術後の経過を順調にできます。
漢方薬は西洋薬の鎮痛剤などとは性格が異なります。月経痛が解消して楽になったからといって、漢方薬の服用をやめてしまっては、充分な治療効果が得られません。
漢方薬の効果は早ければ1週間程度で出る場合もありますが、一般的には何か月もかかって効果が出ます。効果が出るまでの期間は人によって異なるのです。根気よく服用し続けることが何より大切です!
☆漢方薬は体力に応じて処方される・・・
●実証
ふだんから便秘がちで、のぼせや月経前のイライラなどに悩まされるといった症状が目立つ人には、桃核承気湯が効果的です。
●中間証から実証
月経の直前や直後に月経痛が起こる人、冷え、のぼせに悩まされている人には桂枝茯苓丸が効果的です。
●虚証から中間証
冷え症、貧血、低血圧傾向、めまいなどの症状がある人には当帰芍薬散が効果的です。
●虚証
月経の出血が長引き、貧血ぎみで、冷え、めまいに悩まされる人にはきゅう帰膠艾湯、疲労感、冷え、月経終了時の強い月経痛に悩まされる人には当帰建中湯が効果的です。
●併用する処方
月経痛が強いときは、芍薬甘草湯を2~4日間一時的に併用して、痛みを改善します。
☆子宮の病気に効果がある漢方薬☆
☆目安となる症状と漢方薬・・・
実証・・・下腹部の圧痛、常習性便秘、のぼせ、興奮傾向、 月経前のイライラ→桃核承気湯
中間証~実証・・・月経の直前、直後の痛み、下腹部の圧痛や張り、便秘はない、冷え、のぼせ→桂枝茯苓丸
虚証~中間証・・・色白でボッチヤリ型、冷え症、めまい、むくみ、 腰痛、貧血傾向→当帰芍薬散
虚証・・・長引く出血、貧血傾向、脱力感、手足の冷え、めまい→きゅう帰膠艾湯・月経の終わりころの急激な下腹部痛、手足の冷え、腰痛、疲労感→当帰建中湯
実証~虚証・・・月経痛が強いときだけ2~4日間、一時的に使用する→芍薬甘草湯