血液の病気

顔色が悪い、下まぶたが白い、口腔の粘模が白っぽい!血液の病気の疑いあり!

鉄欠乏性貧血・・・

 

貧血のなかで最も多いのが、へモグロピンの重要な構成成分である鉄分の不足による鉄欠乏性貧血です。

 

献血に行くと女性の約三分の一は、はねられます。そのすべてが貧血とはいえないにしても、男性に比べて女性には圧倒的に貧血、それも鉄欠乏性の貧血が多いことは事実です。

 

症状・原因・・・

 

症状としては、顔色が悪い、下まぶたが白い、口腔の粘模が白っぽいなどがあります。また耳鳴り、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなどが起こり、非常に疲れやすくなります。

 

そのほか、爪が薄くもろくなったり、さじ形に逆にそり返ったりします。

 

根本的な原因は鉄分の不足、すなわち、多くは鉄分が体から失われる場合です。

 

鉄分が不足するとヘモグロビンが十分につくられないため、赤血球が小さくなったり、数が不足してくることになります。

 

若い女性に特にこの貧血が多い理由は、毎月の月経によって絶えず血液が失われていること、やせようとして栄養的にアンバランスな食事をしがちなことが重なっているからです!

 

体が急成長する乳児期にも鉄分が不足しがちとなります。痔、胃、十二指腸潰瘍などからの出血もたとえ微量で本人が自覚しなくても、長期にわたると鉄欠乏性貧血を起こします。

 

治療・・・

 

鉄欠乏性貧血の症状がみられたら、すぐ医師の診断を受け指示に従って鉄剤を飲みます。貧血が改善しても医師の指示があるまで服用を続けます。

 

日常の食事で鉄分に富んだものをとることは大切ですが、食事療法だけで貧血を治すのはむずかしいものです。

 

鉄剤にプラスして、肉、レバー、魚、貝類など、鉄分の多い食品をとるようにしましょう。

 

予防法としては、常に栄養のバランスのよい食事をとるよう心がけることです。この病気は再発しやすいので、病後は定期的に医師の診察を受けるようにしてください。

 

 

再生不良性貧血・・・

 

骨髄が脂肪におきかわり、赤血球も白血球も血小板もつくらなくなる病気です。当然、赤血球、白血球、血小板が減少します。厚生労働省の特定疾患に指定され、医療費の助成が受けられます。

 

 

症状・原因・・・

 

赤血球が減るので、貧血になり、顔色が悪く、息切れ、動悸、立ちくらみが起こったり、疲れやすくなります。白血球の減少によって、感染症にかかりやすくなり、高熱が出ることもあります。

 

血小板が減るために出血が起こりやすくなります。皮膚に出血し、青あざができたり、赤い点のように見える出血も起こり、特にすねや首によく出ます。生理が多くなり、ひどくなると止まらなくなったり、血尿や血便の出ることもあります。

 

原因としてはっきりしているのは放射線です。チェルノブイリの原子炉事故で大景に放射線を浴びた人は、この状態になりました。

 

そのほかの原因として、ウイルスや薬も考えられますが、多くは不明です。最近、免疫に役立っているリンパ球が異常になり、骨髄細胞を障害している例が多いことが明らかになってきました。

 

 

治療・・・

 

 

重症で若い人なら兄弟姉妹からの骨髄移植がすすめられます。ただ、兄弟姉妹でも白血球の型が合っている必要があります。合う人をさがすのが困難です。

 

そこで骨髄のドナーバンクができて、白血球の型が合った他人から骨髄をさがすことが行われています。日本では、5万人のドナーがいると1人見つかるといわれています。

 

原因として、免疫を担当しているリンパ球の異常が多くの例で明らかになりました。最近は、免疫抑制薬が多くの例で有効です。

 

免疫抑制薬としては、シクロスポリンや抗胸腺細胞グロブリンなどが使われます。骨髄の提供者のいない人や、45才以上の人ではこれらの薬が使われます。

 

重症ではない若い人や、45才以上の人では副腎皮質ステロイド剤や、タンパク同化ステロイド剤が使われますが、効き始めるまで数ヵ月はかかるので、その間輪血が必要になります。

 

予防上も治療上も、みだりに薬を飲まないこと。シンナーなどの甘いにおいのするものを、吸ったりしないことです。

 

外来に2週間に1回くらい通院して必要に応じて輪血を受けます。熱が出たら、すぐに入院の必要があります。日常無理をしないことが大切です。

 

溶血性貧血・・・

 

いろいろな原因で赤血球が壊れやすいために起こる貧血です。赤血球の寿命は約120日ですが、溶血性貧血は、なんらかの原因でその寿命が短くなっています。生まれつきの場合とそうでない場合があります。

 

症状・原因・・・

 

貧血症状のほかに、黄疸や脾臓のはれが起こります。黄疸といっても、肝臓が悪いわけではありません。

 

赤血球が壊れると赤血球の中からヘモグロビンが出てきますが、それが多すぎて、肝臓で処理できずに、黄疽のもとになるからです。尿がコーラ色になる場合もあります。

 

生まれつきの場合は、親からの遣伝で、赤血球になんらかの異常がありますが、そうでない場合の多くは、赤血球に対する抗体ができて、赤血球が壊されることによって起こります。なぜ赤血球に対する抗体ができるかについては、よくわかっていません。

 

治療・・・

 

治療は原因により異なりますが、生まれつきの場合は脾臓の手術が行われます。脾臓は成人では重要ではないので、とっても心配いりません。

 

子供の場合、細菌感染の防御に役立っているので、3才以下では手術は行わないのが普通です。脾臓をとる手術をすれば、多くの人の溶血性貧血は治癒します。

 

生まれつきでない場合は、副腎皮質ステロイド剤を飲む治療が多く行われます。副腎皮質ステロイド剤を飲んでいるときは、感染に対する抵抗が低下するため、無理は禁物です。一度治っても再発する場合があるので、定期的に診察を受けます。

 

悪性貧血・・・

 

症状・原因

 

ビタミンB12欠乏による貧血です。症状は貧血の症状以外に、舌が荒れたり、白髪になったり、手足がしびれたりなどの神経症状や、精神症状が起こります。

 

中高年に多く精神症状が強いとぼけや精神疾患とまちがえて治療されていることもあります。前述の症状のあるときには、老化現象などと速断して放置しないようにしてください。

 

胃壁の細胞が内因子という物質をつくっていますが、これがビ夕ミンB12の吸収に重要な役割を果たしています。

 

食事の中のビタミンB12は、この内因子と結びついて初めて腸で吸収されるのです。ところが悪性貧血の人は、胃壁の細抱が萎縮して内因子をつくれなくなっています。

 

そのためにビタミンB12の吸収ができず、欠乏状態になってしまうのです。胃壁の細胞の萎縮の原因は、それを壊す抗体ができるためです。

 

胃の手術をして5年くらいたってから、ビタミンB12の欠乏により悪性貧血と似たような症状があらわれる場合があります。また下痢ばかりしている人にも、同様の症状が起こることがあります。

 

治療・・・

 

ビ夕ミンB12の筋肉注射でほとんどの症状は治り、貧血も治ります。しかし、神経症状や精神症状は、やや治りにくい傾向があります。

 

治療を始めたら一生ビタミンB12の注射を続けないと必ず再発しますから医師の治療を受け続けることです。

 

二次性貧血(腎性貧血)・・・

 

二次性貧血とは、何か原因があって起こる貧血のことです。特に腎臓病のときに起こる貧血を、腎性貧血と呼びます。

 

症状・原因・・・

 

腎性貧血の症状は、貧血だけです。腎臓病で、特に透析を受けている人がなりやすいものです。

 

主な原因は、腎臓が障害されるために、普通、腎臓でつくられているエリスロポエチンというホルモンが、つくられなくなるからです。

 

エリスロポエチンの作用は、骨髄の中にある赤血球のもとになる細胞に働きかけ、赤血球への分化を促します。

 

このホルモンができなくなると、赤血球ができにくくなり、貧血になるのです。

 

その原因としては、腎臓病、肝臓病、内分泌の病気、細菌の感染、腫瘍、関節リウマチなどがあげられます。逆にいえば、貧血がある場合にこうした病気が隠れている可能性があるので、よく調べる必要があるということになります。

 

治療・・・

 

治療はまず、透析で、赤血球を壊したり、骨髄の働きを抑えたりする毒素を除くことが必要です。

 

そして、遺伝子組みかえ型のエリスロポエチン(エリスロポエチンの遺伝子を培養した動物細胞の中に組み入れ、その細胞につくらせたエリスロポエチンのこと)を透析のたびに患者に注射すると、貧血が治るようになりました。

 

しかし、エリスロポエチンによる治療は赤血球がふえすぎる場合がありふえすぎると血圧が高くなったり、頭痛がしたりするので、医師の定期的な診察や検査を受ける必要があります。

 

血友病・・・

 

血液を固まらせるある種の血液凝固因子が、血漿中に遺伝的に欠乏しているため、わずかの傷からも大出血しなかなか止まらない血液の凝固障害を血友病といいます。

 

血友病は、欠乏する凝固因子の種類によって、A、B、Cと三つの型に分類されますが、血友病AはBやCより多く、症状も重く、はっきりした出血状態をあらわします。

 

血友病Aと血友病Bは、伴性劣性遺伝でほとんど男性に限ってあらわれます。血友病Cは、血友病Aや血友病Bよりまれで、症状も軽く女性にもあらわれます。

 

症状・・・

 

血友病の症状には、損傷を受けて出血するとなかなか止まらない、軽い打撲でも皮下出血を起こし、青あざや血腫ができる!

 

内蔵の出血や関節の出血がしばしばみられる、足、ひじなどの関節の出血を繰り返して、関節が変形したりする!

 

打撲を受けたあと、後出血といって、かなり時間がたってから大出血することがあるなどの特徴があります。

 

治療・予防・・・

 

 

現在、根本的な治療法はなく、一生治らない病気なので、ふだんから外傷や打撲を受けないよう注意することが大切です。

 

出血そのものは、欠乏している凝固因子の製剤の注射を受ければ簡単に止まりますし、本人が必要に応じて自分で注射することもできるようになっています。

 

現在は遺伝子組みかえ型の凝固因子が使われ、ウイルス感染の危険はなくなりました。

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